2012年5月21日月曜日

謎多き秩父帯

謎多き秩父帯

 あまりの美しさに河原に駆け下りた。
ここは四国の剣山を水源とする坂州木頭川。
対岸に突き出した石灰岩の露頭がみごとで、その岩塊にぶつかる水の白さがとても印象的である。

 ここの地質はジュラ紀の付加体である秩父帯に属しており 海溝で混ぜ合わされた様々な種類の岩石を確認することができる。 岩石の色もまた様々でこの風景に彩りを与えている。

 このような自然の標本箱のような風景の中で秩父帯の形成過程を考えてみるのも悪くない。美しすぎるだけに謎が多いのである。

2012年5月20日日曜日

斑れい岩と鮎

斑れい岩と鮎

 この川沿いの道を車で走るといつもこの青い石に眼を奪われる。
ここは、宍粟市一宮町田ノ尻地区を流れる揖保川の支流三方川。 鮎釣りで有名なこの川の辺りには舞鶴帯に属する斑れい岩体が一部露出しており、その転石がこの川を埋め尽くしている。 河原に降りてみると斑れい岩の巨石がいくつか確認できる。

 ペルム紀の付加コンプレックスであるこの河床の上を鮎が泳いでいる。
そう考えると不思議な感覚になるのである。

2012年5月7日月曜日

剣山スーパー林道と秩父帯


剣山スーパー林道と秩父帯

 徳島県の上勝町から那賀町まで横切る日本最長の林道である。
この林道は未舗装のロングダートということもありオフロードライダー達の聖地にもなっている。 調査当日は霧に包まれ幻想的な風景を演出してくれた。
ここの地質は四国の秩父帯に属しており、弱変成を受けた粘板岩とチャートなどが確認できる。 秩父帯の地質は複雑で一部に陸域で形成された古い花崗岩や変成岩を含む黒瀬川帯 などが挟まることもあるので興味深い。

 この林道の最高地点に立ち日本列島の形成過程を想像するのも悪くない。
このあたりには日本列島形成過程の重要な鍵がまだまだ潜んでいるに違いない。

2012年5月2日水曜日

花崗岩と熱変成

花崗岩と熱変成

 小雨の降る中、波賀町齋木地区の花崗岩地帯とその周辺の接触変成岩を調査した。 写真はその一部で拓けた斜面に大きな石と小さな石が流れ下ろうとしている場面である。 面白い風景なので思わず撮影した。

 ここの地質はは全体的に花崗閃緑岩が多く、山の斜面の所々に岩塊流が存在している。 また、この花崗閃緑岩の近くには海成堆積岩が存在しており、接触部には熱変成を受け た泥岩起源のホルンフェルスとチャート起源の珪岩を確認することができた。 2.5億年前のペルム期に形成された海成堆積岩が後の6500万年前に貫入した花崗閃緑岩 によって熱変成を受けた場所なのである。

2012年5月1日火曜日

奥須加院の非海成堆積岩

奥須加院の非海成堆積岩

 兵庫県中部地方には白亜紀後期の凝灰岩が多く存在していることから、 当時はこのあたりに火山フロントがあり、激しい火山活動が繰り広げら れていたことが想像できる。そして、その一部にあたる香寺町奥須加院 周辺には非海成の堆積岩が存在しているのである。ここの堆積岩は礫を 含む砂岩・泥岩質の堆積岩でカルデラ湖の底に堆積したものである。 過去にはこのあたりに巨大なカルデラ湖が形成されていたはずで、 兵庫県中央部にはこのような場所が十ヵ所前後確認できるのである。

2012年4月28日土曜日

風化を考える

風化を考える

 早朝の斜光がその小屋を照らしていた。
林道の脇に佇む物置小屋で、すでに使われている様子はない。
どれほどの年月が経っているのだろうか・・
人が造った小屋もやがては自然に還るはずである。
自然は長い年月をかけて少しずつ小屋を同化させてゆく。

 この風景は地質調査の途中に出会ったものであるが、自然風化に
ついて再考の機会を与えてくれる貴重な一コマとなった。

2012年4月14日土曜日

どちらが古いのか


どちらが古いのか

 宍粟市山崎町の林道でゼノリスをみつけた。
このあたりは流紋岩質溶結凝灰岩と玄武岩が多く一部にはんれい岩も確認できる。前者の二つの岩石はほぼ同じ時代の後期白亜紀に形成されたものだが、ゼノリスの状態から玄武岩の方がより古いものと推察できる。これは、先に玄武岩が存在し、その岩石を後の溶結凝灰岩が取り込んだからこのような捕獲岩になったものと考えられる。
火成岩が存在する場所では比較的簡単にゼノリスを見つけることができるので、その場所の岩石の時代関係はすぐに把握することができるのだ。

2012年3月18日日曜日

雪の林道にて

雪の林道にて

 そこは静かな高原の林道。
雲が幻想的な背景を演出し、雪は周りの雑音を吸収してくれる。足元の雪下の空間では雪解けが始まっている。微かな水流の音は日増しに大きくなり河川を増水させる。林道の斜面は所々に崩壊地をつくり毎年少しずつ地形を変化させている。そんな地形に出会うたびに、地質的な時間を感じるのである。この高原にも、まもなく、そして確実に春がやってくるのだ。

2011年8月16日火曜日

山の中の海成堆積岩

山の中の海成堆積岩

林道沿いの小川で頁岩に出会った。 山塊の中で海成の石に出会うとなぜか嬉しくなる。

 この岩盤は海成堆積岩の赤色頁岩 で 遠い海の彼方からプレート運動によって運ばれてきたものである。おそらく日本海もまだ形成されていないジュラ紀の時代に付加されたものであろう。

 調査帰りに激しい夕立に遭遇した。 一瞬ですべてを洗い流すと同時に私の頭の中の古い固定概念も拭い去ってくれた。やはり自然は偉大である・・

2011年7月18日月曜日

焼岳と自然観察

焼岳と自然観察

 日本アルプスの中で唯一の活火山、焼岳。
上高地にある焼岳はトロイデ式の火山で上部に溶岩ドームをのせている。 この火山のマグマは火砕流を発生させることが多く、麓には火砕流堆積物による丘状のガリーが確認できる。手前には噴出した溶岩が梓川を堰き止めた結果にできた堰止湖の大正池がある。

 それにしても美しい景観である。時間が許せば、この上高地という地形がどのようにしてできたのかをゆっくりと考えてみたい。山岳地形である日本アルプスの中にこのような平坦な堆積盆地が出現する過程にはどのような条件が重なったのだろうか・・

 山や自然に対しては、科学的教養を持って観察することが重要である。美しい自然やダイナミックな自然の成り立ちが理解できてこそ、本当の意味での感動を得られるはずである。

2011年7月11日月曜日

三波川変成帯のエクロジャイト

三波川変成帯のエクロジャイト

 海洋地殻を構成する玄武岩やハンレイ岩がプレートの沈み込みによって高圧変成を受けた結果、このような変成岩ができることがある。茶色の斑点部分はざくろ石で緑色の部分にはオンファス輝石が含まれている。

 この石は高圧変成帯研究にとって、大変貴重な石である。特にざくろ石等に含まれる包有物や組成累帯構造を調べることは有意義で、地下深部から移動してくる変成岩の上昇メカニズム解明に役立っている。

 この深遠で神秘的な石に惹かれる。

2011年7月8日金曜日

「石と人間の歴史」

「石と人間の歴史」

 至福の時間がここにある。

 石に関する興味深い話題を地学的・岩石学的側面、歴史的・文化的側面の両面から解説してくれている。本のタイトルは「石と人間の歴史」。

 石の持っている面白さを専門から少し離れた視点で観ており時間の許す時にゆっくり読みかえしたい本でもある。

 本の傍の石は、ざくろ石角閃片岩。角閃石の間に大粒のざくろ石が晶出している。地下深部においてある一定の温度と圧力を受け変成したものである。

2011年5月9日月曜日

別子に思う

別子に思う

  四国は旧別子鉱山、端出場地区にある旧水力発電所遺跡である。別子地域に足を踏み入れるとまず目に飛び込んでくる施設でもある。  この地域は西南日本三波川帯の別子地域にあたり地質学的に重要な変成岩地帯である。毎年、様々な研究者がこの場所を訪れている。この地域を調査することは、沈み込み帯のテクトニクスを解明することにつながるのだ。 また、この地域の国領川・銅山川・関川では身近に変成岩を観察することができ、 数時間もあれば簡単な変成岩標本を完成させることもできる。

  悠久の時の流れの中で複雑な変化を受けてきた変成岩。その変成岩に囲まれながら地球深部の変成履歴を思索する時間がとても素敵なのである。

2011年1月12日水曜日

火山岩頸 「ル・ピュイ」

火山岩頸 「ル・ピュイ」

 新春の賀状は「Le Puy」を選択した。毎年、自分の油彩作品の中から気に入ったものを選んで賀状にしている。

 ル・ピュイとはサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼起点の一つでフランスでは珍しいオーベルニュ火山地帯にある町の名前である。

 溶岩でつくられた黒い聖母像を祭るノートルダム大聖堂も魅力的だが、この玄武岩の岩峰と詩的幻想を生み出した空中に浮かぶ小さな礼拝堂、サン・ミシェル・デギーユには何故か惹かれてしまうのである..

マントルの断片

マントルの断片

  大島半島の塩浜海水浴場から赤礁崎にかけての海岸沿いにはマントルの断片が地表に顔を出している。

 この場所では、斑れい岩・ダナイト・ハルツバージャイト などを観察することができ地殻からマントルにかけての構造を連続的に把握することができる貴重な場所なのである。

 かんらん岩の仲間であるダナイト調べると黒色のクロマイトを含んでいる。 超丹波帯の赤礁崎層状チャートも気になるが、マントル断片はさらに魅力的な存在なのである。

2010年9月11日土曜日

アイアンアンティーク

アイアンアンティーク

 魅力的なアイアンアンティーク。銀、銅、真鍮などを使ったものより、素朴な鉄のアンティークに惹かれる。

 鉄は磁鉄鉱のような酸化物として地球表面にも存在するが、地球中心部の核にも大量に存在している。人類はヒッタイトより古い時代から鉄を精錬して利用してきた。今日の人類の繁栄は地球上に大量に存在する鉄を利用できたからなのである。

 あらゆる美の内奥には何かしらある非人間的なものが隠されている。このキャンドルスタンドもそうなのである。

2010年9月9日木曜日

石とロマネスク教会

石とロマネスク教会

 南フランスのロマネスク芸術を代表するサン・トロフィーム大聖堂の正面。 中央タンパンにはキリストを中心にした最後の審判の場面が刻まれている。

 中世に建築されたロマネスク教会の多くは地元で採れた石を使っているの
で教会の表情も様々である。フランス中央山塊にあたるオーヴェルニュ地方では灰色の安山岩を利用した建築が多く、南のプロバンスでは、ル・トロネに代表されるように石灰岩が利用されることが多い。また石材の乏しい地域ではサン・セルナン教会のようにレンガを利用した建築も確認できる。

 石とロマネスク教会。それを理解することで中世の豊かさを再発見できるのではないだろうか・・

2010年8月15日日曜日

日御碕灯台と柱状摂理

日御碕灯台と柱状摂理

 この白い石造りの灯台は日本一の灯塔高を誇る灯台である。そして、この灯
台が建つ岬の下には流紋岩でできた柱状摂理の丘が広がっている。新生代
第三紀中新世の頃、日本海拡大途中に生じた海底火山活動の結果、流紋岩マグマが噴出しこのような柱状摂理の台地を形成したものと考えられる。摂理は四角から六角柱をした柱状で5センチ前後のものが多く認められる。

 この灯台には心をうばわれ時のたつのも忘れてしいそうになる。曇天に溶け込む白い灯台の上から日本海の形成過程を想像してみるのもわるくない。

2010年5月23日日曜日

「自然史」を考える

「自然史」を考える

 窓の外は地雨かな・・眼下に見下ろす庭先に一つの転石がある。雑木林に囲まれたこの石は、僕の遠い記憶の中にも存在している。石は庭石などではなく、昔からここに存在している自然の石。白亜紀の火成活動で凝灰岩となり、転石となったのものであろう・・ 石には「自然史」の記憶が刻み込まれているはずである。「自然史」という美しい響きの言葉には、大地の活動や生命の活動を含めた地球史の貴重な時間と記憶が含まれているのだ・・

そして、今を生きる私たちもまた、「自然史」の一部なのである。

2010年5月16日日曜日

笠形山の礫岩層

笠形山の礫岩層

 この地域には白亜紀の火成活動の後にできた古いカルデラが存在する。地形からは確認できないが湖成層を詳しく調べることで確認ができる。
 
 湖成層とは火成活動の後にできたカルデラ湖に堆積した砂岩・泥岩層のことである。ここの砂岩・泥岩層にはカルデラ壁が崩れてできたと思われる角礫岩が含まれている。この中には強く溶結した凝灰岩なども確認できる。

 現在の地形からはカルデラの存在など想像もできないが、白亜紀の時代
にはこの辺りが火山フロントであったことに間違いはない・・

2010年5月9日日曜日

ゴンドワナ大陸とマプサウルス

ゴンドワナ大陸とマプサウルス

 南米大陸アルゼンチンで発掘された大型獣脚類「マプサウルス」の頭骨。

 マプサウルスは白亜紀後期の恐竜ということから当時のゴンドワナ大陸に生息していたことになる。ペルム紀から三畳紀にかけて存在した超大陸パンゲアが分裂し、中生代ジュラ紀から白亜紀に掛けてテチス海を挟んで北半球にローラシア大陸、南半球にゴンドワナ大陸が生成された。ゴンドワナ大陸は現在の南アメリカ・アフリカ・南極・オーストラリアの集合体だったのだ。

 ティラノサウルスは北半球のローラシア大陸、マプサウルスは南半球のゴンドワナ大陸でしか発見されていない。両者は体格も似ており各大陸を代表する大型獣脚類である。大陸の分裂は進化の過程に影響を与える。きっとこれらの恐竜も何らかの影響を受けたに違いない・・

2010年5月8日土曜日

原初的で根源的な感動

原初的で根源的な感動

 この独特の模様と色彩に惹かれる。

 氷ノ山の林道を登りつめると、この地衣類を纏ったブナの大木に出逢うことができる。これまでにも幾度となく対面してきているが、今年もこの樹に出逢えたことを嬉しく思う。関西でも有数の豪雪地帯であるこの地域で雪に埋もれながら頑張っている姿を想像する時、感動せずにはいられない。そして、この林道の最高所には毎年5月中旬まで雪が残るのである・・

 自然は我々に感動を与えてくれる。それは原初的で根源的な感動である。

2010年5月7日金曜日

奥津渓谷と人形峠

奥津渓谷と人形峠

 花崗岩を侵食しながら流れる吉井川。上流には美しい花崗岩の峡谷がある。

 この変化に富んだ渓谷は約6000万年前 に貫入した花崗閃緑岩で構成されている。 そして、この川の上流部にはウラン鉱床で有名な人形峠がある。人形峠は花崗岩との接触部である砂岩・礫岩層にウランが濃集してできた鉱床で堆積型ウラン鉱床と呼ばれている。

 このあたり清流沿いには湯原・奥津・湯郷などの素敵な温泉がある。次に来るときは、秋の紅葉と温泉のセットで楽しむとするか・・

2010年5月4日火曜日

轟火山の火山弾

轟火山の火山弾

 噴火時のマグマが空中で冷却され地上に落ちてきた塊である。
形状としては紡錘状火山弾に近い。斑晶としてはオリーブ色のかんらん石が確認できる。表面は薄くはがれやすい層状構造になっている。

 轟火山は今から約250万年前の第四紀更新世前期に活動した火山で近くにある氷ノ山と同時期の火成活動であったと推察できる。傾斜のゆるい楯状火山であった轟火山が大量に玄武岩質マグマを放出し、現在の轟高原や杉ケ沢高原を形成したものと考えられる。この火山弾はその時の噴火で放出されたものに違いない。

2010年4月14日水曜日

大峯酸性岩の考察

大峯酸性岩の考察

 吉野の桜を横目に高峰深谷で有名な奈良県は天川村へと急いだ。

 この美しい川迫川周辺は秩父累帯に属するジュラ紀の地質である。変成を受けた石灰岩が多く河床は白く明るい。そして、この古生層の基盤を切り裂く様に大峯酸性岩に属する深成岩が貫入している。上流部ではこの貫入岩脈の影響を受けスカルン鉱床が発達している。

 以前この近くの大普賢岳にも登ったことがあった。山頂は脆い痩尾根であが、この大峯山系の基盤には想像以の深成岩が埋まっているに違いない。

2010年3月22日月曜日

春の嵐と波食棚

春の嵐と波食棚

 兵庫県北端に位置する猫崎半島の波食棚風景である。
 この周辺は山陰海岸ジオパークの対象エリアにも指定されており、様々な地質を確認することができる。 ここの海食棚は新第三紀中新世の北但層群豊岡累層に属する凝灰岩が侵食されてできたものであり、周辺ではポッドホールや波蝕地形を確認することができる。さらに半島北部ではその凝灰岩の上にダイナミックな不整合で重なる、新第三紀鮮新世の流紋岩節理も確認することができる。

 際限なく押し寄せる大波には地球のエネルギーを感じる。毎年訪れる
春の嵐も、この不思議な侵食風景の創造に力を貸してくれているはずで
ある。 間もなく嵐も静まり、この山陰地方にも本格的な春がやってくる・・

2010年1月7日木曜日

ゲーテと石

ゲーテと石

 ゲーテの「イタリア紀行」を再読して・・

 鉱床学や地質学にも精通していたゲーテ。その彼がイタリアを旅した時の記録をまとめたものが「イタリア紀行」である。彼は訪れた土地の地形や地質を仔細に観察している。地質や岩石の説明も多いので大変興味深い。また、彼は「分析よりも一般的なことに目を向けている・・」と語っている。細かい分析より自然全体を捉えようとしたゲーテの姿勢には共感できるところが多い。再読にあたっては地形図を用意して臨んだ。地形を把握することで、最後まで彼と同じ目線で旅を続けることができた。愉しい旅となった。

 この「イタリア紀行」の再読は、ある「石に想いを寄せる方」から戴いたメールがきっかけとなった。その方にお礼を申し上げたい。

Tibi gratias ago.

2010年1月1日金曜日

新春に想う

新春に想う

 自然には、個性に満ちた特徴的な自然を持つものがある。その特性を解き明かし生い立ちを解明すること。そして、自然風景全体を観察しその成り立ちを深く理解すること。それができれば、自然の巧妙な仕組みに感動し心打たれるはずである・・

 この山は以前にも紹介したことがある雪彦山である。薄い雪化粧を纏った峻険な山肌にイイギリの紅い実がよく似合っている。新春のスタートを飾る素敵な風景として、この身近な山を再度紹介させていただく。

2009年12月31日木曜日

冬の斜光に輝く

冬の斜光に輝く

その枝は銀色に輝いていた。

 高度を下げた冬の斜光は、
澄んだ空間をまっすぐ通り抜け、
冬枯れの枝に反射する。

 この光は沈黙の冬を照らし、
新しい季節へ希望を届けてくれる。

 今年最後の自然からのメッセージは
冬の斜光に輝く風景で締めくくりたい。

2009年12月25日金曜日

月と観覧車

月と観覧車

 我々は複雑に移動している。

 地球の自転速度は約、500m/s
公転速度に至っては約、30km/s

 地球は想像を絶する速度で太陽の周りを公転している。その公転をしながら自転をしている地球の上で、観覧車に人が乗って回転している。 実に複雑な
位置関係である。

 この写真は偶然撮影したものであるが、地球の回転を意識させる写真に仕上がった。我々はこの瞬間も超高速で宇宙空間を移動しているのだ。

2009年12月21日月曜日

青年期の富士山

青年期の富士山

 空から撮影した富士山の雄姿である。

 火口へと続く富士宮口登山道と剣ヶ峯が確認できる。周囲を取り巻くリング状の雲は沈降性逆転層の影響だろうか・・標高3000mあたりに発生している様に感じる。

 富士山の溶岩は火山砕屑物と火砕流堆積物で構成されている。この美しい円錐の形状と広大な裾野は玄武岩溶岩と火山灰が交互に堆積した成層火山であることを象徴している。

 今のところ8万年の年齢を重ねている富士山。火山としては、まだまだ若くて青年期である。これからも噴火を繰り返し、その均整のとれた姿を大きく変化させることが予想される。我々は、日本を代表するこの山の、一番美しい姿の時代に生きているのかも知れない。

2009年12月19日土曜日

雪柿と自然学

雪柿と自然学

 赤橙に熟した実。その実は純白の結晶を纏い、じっと重みに耐えている。

 この端然とした姿は、自然学を想起させ、植物、鉱物、そして、人間も自然の一部であることを再認識させてくれる。

 やがて、この冬の象徴は、穢れのない情景へとうつろい、風韻の風となるのである。

2009年12月14日月曜日

進化の証拠を探す旅

進化の証拠を探す旅

 花崗岩と植物と大気層。その花崗岩の上で空間的広がりと人生を想う。

 地球表層は厚さ30キロメートルの花崗岩からなる大陸地殻と7キロメートルの玄武岩からなる海洋地殻で構成されている。この瞬間も地球はプレート運動を続け、歴史を刻んでいる。

 一方、生物は様々な地球表層環境変化に対応し進化をとげてきた。高等生物である人類は、唯一、歴史観を持った生物に進化し、その人類である私は、固体地球の進化の証拠を探す旅をつづけている。

この素敵な旅は、人生が終わる瞬間まで続くことになるのだろう・・

2009年12月11日金曜日

ゼノリスと想像力

ゼノリスと想像力

 花崗岩の貫入時に周辺の泥質岩片を取り込んで固まったゼノリスである。

 捕獲されている岩片は花崗岩より古い岩石と推察できる。それは、花崗岩マグマが貫入した時点で周辺の岩片を捕獲したことになるからである。丸い形状は岩片が熱溶解をし、変成を受けたことを物語っているのである。

  フィールドではこの様な自然情報を見過ごすことの無い様に、深い想像力と関心を持って、情報を解読することが重要なのである。

2009年12月2日水曜日

断層上の駅

断層上の駅

 新神戸駅と平行する諏訪山断層。

 新神戸駅から延長線上の山裾あたりにかけて諏訪山断層が走っている。花崗岩からなる六甲山と大阪層群とされる砂礫層の間に断層がある。つまり、沖積平野境界部に走る断層帯である。

 六甲山周辺では多くの断層や崩壊地があり、今日でも東西方向の強い水平圧縮を受け活発に活動している。我々が住む神戸の街はこの活動的な山の裾に広がっており、さらに、この断層の上には新幹線の駅があるのだ。

2009年11月29日日曜日

自然に接して感動する

自然に接して感動する

 日没の瞬間は空気も凍る。

 厳冬期の山は生命活動を許さない極限の世界。
吐く息は薄氷となり、瞬時にテント内に凍りつく。方向を失った風は、行き場を失い暴れ狂う・・やがて、テント内にも雪が降る。

 厳しい自然は、我々が生きていることを実感させてくれる。
自然に接して感動すること。この原初的で単純な行為にこそ、意味があるのではないだろうか。

2009年11月25日水曜日

芸術的な溶岩柱

芸術的な溶岩柱

 ギリシャ神殿の列柱を想起させる。

 京都の夜久野には、約30万年前に噴火した火山がある。名前は田倉山。別名、宝山とも呼ばれるこの火山の溶岩は明灰色の玄武岩でできている。柱状節理の表面は淡い橙色に風化し、我々に優しい印象を与えてくれる。

 それにしても芸術的な溶岩柱である。この瞬間にも、柱の陰から、あの女神アプロディーテーが姿を現してくれそうな気がするのだが・・

2009年11月24日火曜日

古い山道具

古い山道具

 フランス製ミレーのザックは、ヨーロッパアルピニズムの薫りがする。

 写真はチャクラという古いモデルで、所有しているザックの中では一番気に入っている。 今では幻と云われる、純フランス縫製のミレーである。ピッケルはラプラウド社製のスーパーワンドイと云うモデルでピックには、往年の登山家、ルネ・ドメゾンの名前が刻み込まれている。

 これらの古い道具は当時の精神性を感じさせてくれる。そして、それを担いで山に登る時が最高に幸せなのだ。

2009年11月22日日曜日

白亜紀のカルデラ

白亜紀のカルデラ

 兵庫県中部に広がる丹波帯は古い地層である。ペルム紀からジュラ紀にかけて付加した地層で、その当時は深海の海溝であったと考えられる。 一般的にはこの様な地層をコンプレックスと呼んでいる。 また、この周辺では砂岩やチャートの他に凝灰角礫岩や礫岩を確認することができる。火成活動を終えたカルデラは陥没して湖となり、やがて周辺の壁も崩れて砂や礫が堆積するのである。 これらのことから、白亜紀には、この周辺に大規模なカルデラがあったものと推察できるのだ。

 西南日本に存在した白亜紀のカルデラ。この周辺に火山フロントがあり、大規模な火砕流が吹き荒れていた時代。この地方に足を踏み入れる時は、つい、そんな時代をイメージしてしまう。

2009年11月19日木曜日

錆色の美しさ

錆色の美しさ

 熱水鉱脈鉱床の酸化帯から採取した鉱石。
表層水の影響を受け鉱石が化学変化を起こした部分のことを酸化帯と呼ぶ。このサンプルの表面は、鉄の酸化鉱物である褐鉄鉱に覆われている。中心部には赤鉄鉱の濃集部が確認でき、上部の赤い部分は赤鉄鉱が粉末状に風化したもと考えられる。緑色の点状鉱物は銅の二次鉱物である孔雀石やブロシャン銅鉱になる。

 赤色の顔料としても使われる赤鉄鉱。表面が黒色でも条痕色は赤色になる。この様に風化した鉱石を見ると顔料に使えることが想像できる。錆びた色もよく見ると、美しい色に感じてくるから不思議である。

2009年11月17日火曜日

岩とアルピニスト

岩とアルピニスト

 峻険な岩場を持つ、雪彦山。
その第二の岩峰、不行岳が神々しく輝いていた。  垂直に切れ落ちた壁は150m以上の高度差があり、アルパインクライマーは命がけでその岩壁を登る。その不思議な光景は、人が自然に挑戦している姿に映る。以前はこの山にもよく登ったが、最近はすっかりご無沙汰である。

 この山は流紋岩と溶結凝灰岩で構成されている。 クライマーはその硬い凝灰岩にハーケンを打ち込み確保支点をとる。 優秀なアルピニストは岩質も良く知っているはずだ。

2009年11月15日日曜日

石のある暮らし

石のある暮らし

 森と石に包まれた部屋でパイプ煙草を燻らす。テレピンの香りに満ちた部屋が、甘いバニラの香りへと染まる。そんな部屋の片隅で石の成因を思索している。石は時間の感覚を変化させ、意識を地質時代へと導いてくれる。

 写真はオルドビス紀のオフィオライト断片、蛇紋岩である。5億年の時を重ねた石。私は、その石たちと一緒に暮らしている。

2009年11月12日木曜日

錦秋に燃える

錦秋に燃える

その秋は、白樺の奥で燃えていた。

 自然林に透ける錦秋の風景である。澄んだ美しさには自然のもつ官能性を感じる。 できれば、今すぐにでも、この
情景を画布の上に定着させ、永遠に留めておきたいと想った。絵になる風景とは、まさに、この様な風景のことを云うのである。

 そろそろ山の紅葉も終焉となる。枝は葉を落とし冬枯れの風景へと姿を変える。そして、高度を下げて強さを失った太陽の光と哀愁が山全体を包み込むのである。

2009年11月9日月曜日

魅惑の変成岩

魅惑の変成岩

 変成岩のサンプルトレイを何とはなしに覗いてみると、一際目立つ岩石があった。その名は、アクチノ閃石片岩。別名、陽起石片岩とも呼ばれている、女性的で魅惑的な変成岩である。 緑色でガラス光沢をした針状結晶をルーペで観察すると、誰もがその美しさに息を呑む。日本列島は海洋プレートの沈み込み帯であるが故に、この様な美しい変成岩に出逢うことができる。この魅力的な変成岩は中央構造線の近くで高温低圧の変成を受けたはずである。しかし、この様な地中深部で変成を受けた岩石が地表に顔を出すメカニズムとは・・この石は、我々の想像を遥かに超えたダイナミックな経歴を持っているに違いない。

 ということで、今夜はこの陽起石と向かい合って一杯呑るとするか。この陽起石が美しい楊貴妃に変身してくれることを期待して・・

2009年11月8日日曜日

岩塊流と自然観

岩塊流と自然観

 燃ゆる黄葉林道を駆け登った。
この季節の段ヶ峰林道では、いつも、落ち葉の絨毯が出迎えてくれる。

 一宮町の草木集落から千町峠を経由し段ヶ峰林道に入った。 その林道を少し下った辺りに、この岩塊流がある。おそらく最終氷期の凍結融解作用で、この様に破砕されたのであろう。

 自然をどう見るのか・・時々考えることがある。あの今西錦司が語った様に
西洋的な自然科学だけでなく、生物に満ちみちた自然を素直にとらえることができる人に、私は憧れるのである。

2009年11月7日土曜日

落葉と落陽

落葉と落陽

 落ち葉が逆光に舞っていた。
ここは、東経135度、北緯35度。西脇市に位置する公園の風景である。 秋も深まると広葉樹の葉が色付き、やがて落葉する。この美しい紅葉色はアントシアニンという赤い色素によって創り出されている。 日照時間が少なくなる冬には、光合成の効率が落ちるので、落葉植物は自ら葉を落とすのだ。

 落葉は紅と哀愁に染まっている。そして、人生の落陽を向かえたとき、我々は、何色に染まるのであろうか・・

2009年10月22日木曜日

マグマの杭、橋杭岩

マグマの杭、橋杭岩

 本州最南端に立ち並ぶ貫入溶岩、橋杭岩。南紀串本町の海岸を走っていると突然目に飛び込んでくる奇岩がある。杭のような岩が南の沖合いまで一直線に立ち並んでいる。この不思議な景観は今から1400万年前の火山活動によってできた。泥岩地層の隙間に地下から石英斑岩が貫入し、その後の差別侵食により泥岩が速く侵食され、石英斑岩だけが取り残されたというわけである。

 南紀の海岸ロードではフェニックスが出迎えてくれる。海岸にはダイナミックな岩礁、その少し沖には南海トラフ、その上には青い空と輝く太陽、そして、その先には遥か太平洋。 そう、もうそれ以外、何もないのだ・・

2009年10月19日月曜日

地球深部探査船「ちきゅう」

地球深部探査船「ちきゅう」

 ライザー掘削技術を科学研究用に初
めて導入した地球深部探査船ちきゅう。海底下7,000mを掘削できる能力を持ち
現時点では世界最高の掘削船である。船体中央の掘削やぐらはデリックと呼ばれており、船底からの高さは30階建てのビルに相当する。 最近の活動としては統合国際掘削計画(IODP)の主力船として活躍し、今回の南海トラフ掘削計画ではプレート境界部の赤色泥岩と玄武岩の採取に成功。 同時に海底下の地下水脈の存在も確認している。

 海洋国である日本が世界に誇る船。今後の活躍と調査報告に期待したい。

2009年10月13日火曜日

村岡層のタービタイト

村岡層のタービタイト

 北但層群村岡層の砂岩泥岩互層。別名、タービタイトとも呼ばれている。海底に堆積した泥の上に時々発生する混濁流によって運ばれてきた砂が堆積してこの様な互層ができる。 この地層では黒い泥岩層の全体に亀裂が生じて細かいチップ状態に風化しているのが確認できる。完全に乾燥した地層では、泥岩より砂岩の方が風化に強いのである。

 フィールドに飛び出して自分の眼で自然の状態を観察すること。それが
自然を理解する近道なのである。

2009年10月6日火曜日

白亜紀の堆積地層

白亜紀の堆積地層

 中生代白亜紀の地層を削る篠山川。この赤茶けた地層は篠山層群と呼ばれ白亜紀前期の内陸湖に堆積した地層と考えられている。地質は泥岩や礫岩を含む堆積地層になっており、この泥岩層からは国内最大級の恐竜化石も発掘されている。竜脚類に属するこの草食恐竜は丹波竜 という名で呼ばれている。

 西日本一帯に広がっていたと考えられるこの淡水湖のほとりに大型恐竜が生息していたことは、ほぼ確実である。白亜紀の生物を化石として現代に伝えてくれた堆積岩に感謝しなければ・・