2010年9月11日土曜日

アイアンアンティーク

アイアンアンティーク

 魅力的なアイアンアンティーク。銀、銅、真鍮などを使ったものより、素朴な鉄のアンティークに惹かれる。

 鉄は磁鉄鉱のような酸化物として地球表面にも存在するが、地球中心部の核にも大量に存在している。人類はヒッタイトより古い時代から鉄を精錬して利用してきた。今日の人類の繁栄は地球上に大量に存在する鉄を利用できたからなのである。

 あらゆる美の内奥には何かしらある非人間的なものが隠されている。このキャンドルスタンドもそうなのである。

2010年9月9日木曜日

石とロマネスク教会

石とロマネスク教会

 南フランスのロマネスク芸術を代表するサン・トロフィーム大聖堂の正面。 中央タンパンにはキリストを中心にした最後の審判の場面が刻まれている。

 中世に建築されたロマネスク教会の多くは地元で採れた石を使っているの
で教会の表情も様々である。フランス中央山塊にあたるオーヴェルニュ地方では灰色の安山岩を利用した建築が多く、南のプロバンスでは、ル・トロネに代表されるように石灰岩が利用されることが多い。また石材の乏しい地域ではサン・セルナン教会のようにレンガを利用した建築も確認できる。

 石とロマネスク教会。それを理解することで中世の豊かさを再発見できるのではないだろうか・・

2010年8月15日日曜日

日御碕灯台と柱状摂理

日御碕灯台と柱状摂理

 この白い石造りの灯台は日本一の灯塔高を誇る灯台である。そして、この灯
台が建つ岬の下には流紋岩でできた柱状摂理の丘が広がっている。新生代
第三紀中新世の頃、日本海拡大途中に生じた海底火山活動の結果、流紋岩マグマが噴出しこのような柱状摂理の台地を形成したものと考えられる。摂理は四角から六角柱をした柱状で5センチ前後のものが多く認められる。

 この灯台には心をうばわれ時のたつのも忘れてしいそうになる。曇天に溶け込む白い灯台の上から日本海の形成過程を想像してみるのもわるくない。

2010年5月23日日曜日

「自然史」を考える

「自然史」を考える

 窓の外は地雨かな・・眼下に見下ろす庭先に一つの転石がある。雑木林に囲まれたこの石は、僕の遠い記憶の中にも存在している。石は庭石などではなく、昔からここに存在している自然の石。白亜紀の火成活動で凝灰岩となり、転石となったのものであろう・・ 石には「自然史」の記憶が刻み込まれているはずである。「自然史」という美しい響きの言葉には、大地の活動や生命の活動を含めた地球史の貴重な時間と記憶が含まれているのだ・・

そして、今を生きる私たちもまた、「自然史」の一部なのである。

2010年5月16日日曜日

笠形山の礫岩層

笠形山の礫岩層

 この地域には白亜紀の火成活動の後にできた古いカルデラが存在する。地形からは確認できないが湖成層を詳しく調べることで確認ができる。
 
 湖成層とは火成活動の後にできたカルデラ湖に堆積した砂岩・泥岩層のことである。ここの砂岩・泥岩層にはカルデラ壁が崩れてできたと思われる角礫岩が含まれている。この中には強く溶結した凝灰岩なども確認できる。

 現在の地形からはカルデラの存在など想像もできないが、白亜紀の時代
にはこの辺りが火山フロントであったことに間違いはない・・

2010年5月9日日曜日

ゴンドワナ大陸とマプサウルス

ゴンドワナ大陸とマプサウルス

 南米大陸アルゼンチンで発掘された大型獣脚類「マプサウルス」の頭骨。

 マプサウルスは白亜紀後期の恐竜ということから当時のゴンドワナ大陸に生息していたことになる。ペルム紀から三畳紀にかけて存在した超大陸パンゲアが分裂し、中生代ジュラ紀から白亜紀に掛けてテチス海を挟んで北半球にローラシア大陸、南半球にゴンドワナ大陸が生成された。ゴンドワナ大陸は現在の南アメリカ・アフリカ・南極・オーストラリアの集合体だったのだ。

 ティラノサウルスは北半球のローラシア大陸、マプサウルスは南半球のゴンドワナ大陸でしか発見されていない。両者は体格も似ており各大陸を代表する大型獣脚類である。大陸の分裂は進化の過程に影響を与える。きっとこれらの恐竜も何らかの影響を受けたに違いない・・

2010年5月8日土曜日

原初的で根源的な感動

原初的で根源的な感動

 この独特の模様と色彩に惹かれる。

 氷ノ山の林道を登りつめると、この地衣類を纏ったブナの大木に出逢うことができる。これまでにも幾度となく対面してきているが、今年もこの樹に出逢えたことを嬉しく思う。関西でも有数の豪雪地帯であるこの地域で雪に埋もれながら頑張っている姿を想像する時、感動せずにはいられない。そして、この林道の最高所には毎年5月中旬まで雪が残るのである・・

 自然は我々に感動を与えてくれる。それは原初的で根源的な感動である。

2010年5月7日金曜日

奥津渓谷と人形峠

奥津渓谷と人形峠

 花崗岩を侵食しながら流れる吉井川。上流には美しい花崗岩の峡谷がある。

 この変化に富んだ渓谷は約6000万年前 に貫入した花崗閃緑岩で構成されている。 そして、この川の上流部にはウラン鉱床で有名な人形峠がある。人形峠は花崗岩との接触部である砂岩・礫岩層にウランが濃集してできた鉱床で堆積型ウラン鉱床と呼ばれている。

 このあたり清流沿いには湯原・奥津・湯郷などの素敵な温泉がある。次に来るときは、秋の紅葉と温泉のセットで楽しむとするか・・

2010年5月4日火曜日

轟火山の火山弾

轟火山の火山弾

 噴火時のマグマが空中で冷却され地上に落ちてきた塊である。
形状としては紡錘状火山弾に近い。斑晶としてはオリーブ色のかんらん石が確認できる。表面は薄くはがれやすい層状構造になっている。

 轟火山は今から約250万年前の第四紀更新世前期に活動した火山で近くにある氷ノ山と同時期の火成活動であったと推察できる。傾斜のゆるい楯状火山であった轟火山が大量に玄武岩質マグマを放出し、現在の轟高原や杉ケ沢高原を形成したものと考えられる。この火山弾はその時の噴火で放出されたものに違いない。

2010年4月14日水曜日

大峯酸性岩の考察

大峯酸性岩の考察

 吉野の桜を横目に高峰深谷で有名な奈良県は天川村へと急いだ。

 この美しい川迫川周辺は秩父累帯に属するジュラ紀の地質である。変成を受けた石灰岩が多く河床は白く明るい。そして、この古生層の基盤を切り裂く様に大峯酸性岩に属する深成岩が貫入している。上流部ではこの貫入岩脈の影響を受けスカルン鉱床が発達している。

 以前この近くの大普賢岳にも登ったことがあった。山頂は脆い痩尾根であが、この大峯山系の基盤には想像以の深成岩が埋まっているに違いない。

2010年3月22日月曜日

春の嵐と波食棚

春の嵐と波食棚

 兵庫県北端に位置する猫崎半島の波食棚風景である。
 この周辺は山陰海岸ジオパークの対象エリアにも指定されており、様々な地質を確認することができる。 ここの海食棚は新第三紀中新世の北但層群豊岡累層に属する凝灰岩が侵食されてできたものであり、周辺ではポッドホールや波蝕地形を確認することができる。さらに半島北部ではその凝灰岩の上にダイナミックな不整合で重なる、新第三紀鮮新世の流紋岩節理も確認することができる。

 際限なく押し寄せる大波には地球のエネルギーを感じる。毎年訪れる
春の嵐も、この不思議な侵食風景の創造に力を貸してくれているはずで
ある。 間もなく嵐も静まり、この山陰地方にも本格的な春がやってくる・・

2010年1月7日木曜日

ゲーテと石

ゲーテと石

 ゲーテの「イタリア紀行」を再読して・・

 鉱床学や地質学にも精通していたゲーテ。その彼がイタリアを旅した時の記録をまとめたものが「イタリア紀行」である。彼は訪れた土地の地形や地質を仔細に観察している。地質や岩石の説明も多いので大変興味深い。また、彼は「分析よりも一般的なことに目を向けている・・」と語っている。細かい分析より自然全体を捉えようとしたゲーテの姿勢には共感できるところが多い。再読にあたっては地形図を用意して臨んだ。地形を把握することで、最後まで彼と同じ目線で旅を続けることができた。愉しい旅となった。

 この「イタリア紀行」の再読は、ある「石に想いを寄せる方」から戴いたメールがきっかけとなった。その方にお礼を申し上げたい。

Tibi gratias ago.

2010年1月1日金曜日

新春に想う

新春に想う

 自然には、個性に満ちた特徴的な自然を持つものがある。その特性を解き明かし生い立ちを解明すること。そして、自然風景全体を観察しその成り立ちを深く理解すること。それができれば、自然の巧妙な仕組みに感動し心打たれるはずである・・

 この山は以前にも紹介したことがある雪彦山である。薄い雪化粧を纏った峻険な山肌にイイギリの紅い実がよく似合っている。新春のスタートを飾る素敵な風景として、この身近な山を再度紹介させていただく。