2008年12月31日水曜日

人類繁栄を祈りながら

人類繁栄を祈りながら

 兵庫の山間部には粉雪が舞っていた。
凍結した峠道を越えると、静寂に包まれた白銀の山村が出迎えてくれた。
今年最後の自然観察は日本の原風景で締め括る。

 さて、今年も、あと残り3時間程になった。今、我々が生きている地質時代の第四紀完新世は、人類が繁栄できる時代を示している。 この安定的な時代が少しでも長く続くことを祈りながら、新年を迎えようではないか..

2008年12月28日日曜日

丹波帯のチャート

丹波帯のチャート

 小金ヶ嶽のチャート岩稜。
アルペン的な登山を楽しめる山で、露頭はチャートで構成されている。色は、赤・灰・黒などが確認できる。

 丹波帯のチャートはペルム紀にできた地層で、海洋プレートの移動によって運ばれ、ジュラ紀に陸域に付加したものと考えられる。

 チャートは石灰物質が含まれていないことが重要な特徴になる。これは、4千メートル以上の深海で堆積したことを意味している。

2008年12月26日金曜日

オルソコーツァイト

オルソコーツァイト

 白山の手取層群から採取したオルソコーツァイト。
大陸の安定した環境で石英が堆積してできた岩石である。
本来、このような岩石は日本の基盤岩には存在しない。ジュラ紀から白亜紀にかけての白山周辺は、アジア大陸の縁辺部を形成しており、淡水の湖沼が広がっていたものと考えられている。その淡水の湖でこの丸い石がつくられた。その後、日本は大陸から分離、現在の白山付近にこの礫岩が残っている。

 大陸起源のオルソコーツァイト。
この石は日本海の形成過程を知っているはずだ。

2008年12月25日木曜日

冬枯れの山

冬枯れの山

 不思議な感覚がした。
何気ない風景であるが、思索的な風景でもある。
この美しい冬曇の空と冬枯れの山は、自然の知性のもっとも美しくすぐれた部分のように感じる。

 絶巓の雲間のかなたに広がる空の青みは、我々に希望を感じさせてくれるような気がする..

2008年12月24日水曜日

スノーツリー

スノーツリー

 やはり、銀世界であった。

 鉢伏高原は、すでに雪化粧を終えている。今日は雪の林道を散策しながらスノーツリーを探した。

 そして、静寂の世界にたたずむ、堂々としたスノーツリーを見つけた。都会のイルミネーションに飾られたクリスマスツリーも素敵だが、自然のスノーツリーも負けてはいない。

今年のイブはこの余韻だけで楽しむとするか...

2008年12月23日火曜日

冬の夏蔦

冬の夏蔦

 葉が落ちているので夏蔦かな..
常緑の蔦は、冬蔦。

個人的には落葉する夏蔦が好きだ。
建築物と植物のコラボレーション。
実に素敵な風景である。

岩石や生物に興味を傾けていると、散歩中に去来するこのような風景にも思わず立ち止まってしまう。

心に染み入る風景との出会いは、人生の生甲斐を感じさせてくれる。

2008年12月19日金曜日

同期の精密機械

同期の精密機械

 ぼくと同期の精密機械を紹介する。

 名前はオリンパス「FH」。昭和 40年前後に製作された精密生物顕微鏡で、高度成長時代において日本の機械工業技術が最高に達した瞬間の象徴的製品である。 この顕微鏡は脚や鏡柱にも砲金を使用しており、大変贅沢な作りになっている。

 この歳になると、人間の方はそろそろガタが出てくるが、この顕微鏡に至っては、まだまだ健在だ。

2008年12月18日木曜日

イヤープレート

イヤープレート

 今年も届いた.. このプレートが送られてくると、新年を迎えることができる。
過去のプレートを手にするとその年の記憶が蘇るので、不思議だ。

 ロイヤルコペンハーゲンのブルーは、輝コバルト鉱から採れる、 アルミン酸バルトが使われているはずである。この磁器プレートは、色についても、すべて天然の鉱物を原料としている。

 既に、今年のプレートには、様々な思い出が溶結されている。
2009年の新しいプレートには、どのような想い出が焼きつくのか・・

2008年12月17日水曜日

希元素鉱物

希元素鉱物

 晶洞ペグマタイトから採取した煙石英。
この石には希元素鉱物であるモナズ石が含まれている。つまり、セリウムを含む放射性鉱物。石英が黒く変色しているのは、この鉱物が出している放射線の影響を受けているからである。放射線で変色した部分のことを専門用語で「ハロ」と呼ぶ。

 希元素鉱物には放射性のある鉱物が多い。危険な薫りがするものは、とにかく魅力的でもあるのだ..

2008年12月13日土曜日

氷河圏谷地形

氷河圏谷地形

 北アルプス三大雪渓の一つ、剣沢雪渓である。
標高は2800m 夏でも雪渓が残っている。
このU字谷は氷期に発達した氷河によって削り取られたのであろう..

 自然が創った超特大のすべり台。面白いではないか..
遠くに望むは、後立山連峰の白馬鑓ヶ岳・唐松岳・五龍岳の雄姿である。

2008年12月10日水曜日

侵食残丘、那岐山

侵食残丘、那岐山

 花崗岩の侵食残丘、那岐山。つまり、日本版エアーズロックである。この山は花崗岩の固い部分が浸食から取り残され孤立してしまった残丘なのだ。この様な地形は別名で「モナドノック」とも言う。この那岐山では花崗岩の他に安山岩や流紋岩、塩基性片岩、黒色片岩等が確認できる。この山は北側と南側では表情が大きく異なる。北側は急峻だが南側は緩やかである。
今夜はこの表情の成因を考えながら休むとするか..

2008年12月4日木曜日

ドーバーの白い壁

ドーバーの白い壁

 友人から素敵な写真が届いた。ドーバー海峡にそそり立つ白亜の断崖である。この壁はホワイトクリフ、別名セブン・シスターズと呼ばれており、未固結の石灰岩でできている。ここの地質は白亜紀に形成されており、地質時代の白亜紀はこの印象的な白い地層から名づけられているのだ。

 この壮大で美しい断崖の上を散歩できれば、もう他に何も望まない..

2008年11月29日土曜日

輪廻転生

輪廻転生

 マグマから生まれた火成岩はやがて堆積岩や変成岩になる。それら岩石も地球のプレート運動により地中深くで、再びマグマとなる。石も輪廻転生を繰り返している。

 昨晩、親しい友人が、四十半ばの人生を終えた。運命の非情さに心の震えが止まらない。 やがて、我々もいつか石になる。

 友よ.... お互い石になって、
いつの日か再会しようではないか..

合掌

2008年11月24日月曜日

中沢晶洞とチンワルド雲母

中沢晶洞とチンワルド雲母

 滋賀県、田上山の中沢晶洞で調査を行った。
 ここは戦後最大級のペグマタイトと言われている。 まず、山麓から落葉の林道を一時間程歩き、さらに軽い薮漕ぎと急斜面を登った先にこの大晶洞がある。 写真はズリから採取した、曹長石を母岩とするチンワルド雲母である。この褐色に透ける美しい雲母は世界最大の産地である、 チェコの村「 ZINNWALD-GEORGENFELD 」から名付けられている。このフィロケイ酸塩鉱物は研究対象としても魅力的に思える。火星探査でフィロケイ酸塩粘土鉱物を探しているのも大変興味深い。他には、文象花崗岩、正長石、煙水晶などが確認できた。時間をかければ益富雲母やトパズも見つかるはずである。
そして、やはり、ここは貴重な聖域に間違いない..

2008年11月9日日曜日

神秘的色彩

神秘的色彩

 段ヶ峰の落ち葉に埋まる林道を駆け下りてきた。
黄葉、紅葉に針葉樹の緑、どれも最高の色だった。
鉱物も負けてはいない、カドミウムの黄、水銀の赤、銅の緑どれも高級絵の具に使われている。 生物や鉱物が創り出した色は神秘的である。
人工的に創り出した色など敵うはずが無い。

自然を理解している者だけが、その理由を知っている。

2008年11月7日金曜日

大江山オフィオライト

大江山オフィオライト

 大江山オフィオライトの蛇紋岩帯。

 約4億5千万年前に形成された岩石でこのあたりでは最古の岩石になる。ここの岩石は、かんらん岩が変化した超苦鉄質の蛇紋岩で構成されている。主な岩帯としては、京都の大江山、兵庫の出石・関宮、鳥取の若狭に岩帯が顔を出している。構造としては、少し南側の丹波帯や超丹波帯に夜久野オフィオライトが衝上しに大江山オフィオライトが乗り上げている。
つまり、大江山オフィオライト帯は、西南日本で構造的に最も高い位置にあるナップといえるだろう。

2008年11月6日木曜日

THE BANFF CENTRE

THE BANFF CENTRE

 先日、カナダ人の女性アーチストから、バンフにある滞在型教育センター「The Banff Centre」の説明を受ける機会があった。 バンフはカナディアンロッキーを背景にした自然豊かな土地で、バンフ市自体が国立公園内にある。このセンターは滞在型で、世界中からアーティストが集まってくる。アート、リーダシップデベロップメント、山岳カルチャーを中心に専門性を豊かにする教育プログラムが用意されており、とにかく魅力的だ。 自分も早く引退して、このような場所でアーティスト活動でもできれば...

 第二の人生ということで、まったく違う分野で活躍するのも悪くない。その時は、お世話になろう..

2008年11月3日月曜日

緋色と岩塊流


緋色と岩塊流

やはり、緋色に染まっていた。
高原は本格的な紅葉を迎えている。

千種高原は標高1200mの高原、当然、下界より早く紅葉が始まる。高原の奥にはダルガ峰という緩やかな山があり、その山頂付近には 、かんらん石玄武岩の岩塊流がある。この季節、紅葉の緋色と相まって、岩塊流が一際、魅力的に映る。この高原には広範囲に花崗岩が貫入しており、近くには変成岩帯もある。

ここは、心の中に留めておきたい、大切な風景の一つである。

2008年11月2日日曜日

佐波理の宝物

佐波理の宝物

 秋空の下、多田銅山へ行ってきた。

 折りしも、奈良では正倉院展が開催されている。今年で60回になるそうだ。公開中には行けそうにないので、 気分だけでも味わおうと、本棚にある美術書の「正倉院」を引っ張り出した。その中で、「佐波理の合子・黄銅合子」という宝物に目が止まった。佐波理か.. 忘れていた単語だ。佐波理とは、銅・錫・鉛の合金である。打てば余韻のある音響を発することから響銅ともいう。

たまには、宝石や宝物に姿を変えた鉱物を鑑賞するのもよい。

2008年10月31日金曜日

地球からのプレゼント

地球からのプレゼント

ゼノサーマル鉱床から採取した鉱石。黄銅鉱・斑銅鉱・方鉛鉱が確認できる斑銅鉱5.1、方鉛鉱にいたっては7.6である。一般的には比重4以上の金属鉱物を重金属と呼んでいる。

 ゼノサーマル型鉱床とは、マグマにより温められた熱水が上昇し、冷却過程で有用元素を含んだ沈殿物が生じて形成された鉱床のことである。

やはり、鉱物は地球から人類へのプレゼントでないだろうか..

2008年10月22日水曜日

花崗岩と砂


花崗岩と砂

 花崗岩の風化地帯である。実際にこのような場所で砂が生まれる。
山塊に貫入してきた花崗岩が風化し、真砂化している風景である。
花崗岩の岩塊はやがて小さな塊となり崩れ、最終的には砂になる。

  鳥取県一帯は山陰帯の花崗岩が多く存在している。
これらの花崗岩が長い年月の間に風化しその砂が海岸まで運ばれて、
あの鳥取大砂丘を形成しているのだ。

2008年10月20日月曜日

生命活動に必要な金属

生命活動に必要な金属

生物も環境の一部である。
生命活動の維持には一定量のミネラルがかかせない。体内の金属レベルが低すぎると健康障害がおき、逆に金属濃度が高すぎるのも有毒になり障害がおきる。 写真は地質調査中に偶然見つけた閃亜鉛鉱の鉱脈である。

2008年10月18日土曜日

玄武洞と玄武岩

玄武洞と玄武岩

そうなのである。
玄武岩という名前はこの玄武洞の名に因んで命名されたものである。
約160万年前に豊岡にある来日岳が噴火して流れ出た溶岩が冷却されてできた柱状節理。大きく褶曲した節理が中国の伝説動物、玄武に似ていることから命名された。

 それにしても圧巻である。
これが自然にできたものとは..
この地球は人間の想像を遥かに越えた物を創ってくれる。  

創造主に乾杯!

2008年10月16日木曜日

林道と探検車両

林道と探検車両

 地質調査では林道を走ることが多い。
探検車両のジムニーは、泥濘状態の
林道はもちろん、倒木も跨いでくれる。
車内は登山用具で溢れ、ヘルメット、
登山靴、 ハーネス、ロープ、等々が散乱している。
車で登れないところは登頂用具でカバーするつもりだったのだが、最近は、すっかり出番が無い。
今度、機会があっても登れるかどうか..

冬季では林道の多くが積雪で通行不能になるので残念である。

今暫く、紅葉の林道を楽しむとしよう..

2008年10月15日水曜日

秋の野に想う












秋の野に想う

「人皆は 萩を秋といふ よし我は 尾花が末を 秋とは言はむ」

 万葉集に秋の野の花を詠んだ歌があるが、
野山を駆け巡る者としては、同じ感覚を覚える。

 砥峰高原は、標高800~900mの高原で、
第四紀の氷期に岩石の凍結破砕作用が起こり
緩やかな起伏を示す化石周氷河斜面が形成された。
地質は磁鉄鉱系の花崗閃緑岩が主で、
その昔、たたら製鉄が行われていた場所でもある。 

2008年10月14日火曜日

タイムカプセル












タイムカプセル - ダイナミックな歴史の証明 -

 高温の火山灰が堆積した場合や火砕流が発生した時に、
火山灰の一部が溶け出し非常に緻密な岩石ができる。
このような岩石を、熔結凝灰岩と呼ぶ。
このように熔結した岩石はハンマーでも簡単に割ることができない。
無理に割ろうとするとハンマーが負けて火花が飛ぶことになる。

 写真は溶けた凝灰岩が周辺の岩石を捕獲したまま固まった部分である。
我々が住んでいる平野部の近くでもその昔には大規模な火山活動や
火砕流が発生していたことを示してくれている。

岩石とは歴史を秘めた、タイムカプセルなのである。

2008年10月13日月曜日

岩石と豹紋蝶

岩石と豹紋蝶

岩石から染み出るミネラル水分を補給する、豹紋蝶 。
ゆっくりと羽を開閉させながら
時間をかけて補水している。

 ここの岩石はジュラ紀の結晶片岩で、
三郡変成岩帯に属している。
海洋プレートの沈み込みにより、
地下深くで高圧変成を受けた岩石が、
その後の地殻変動で地上に
押し上げられたものである。

 さて、この蝶は、
2億年の地球史を経験した岩石と
知っておられるのだろうか・・

2008年10月12日日曜日

君の名は、肝木

君の名は、肝木

 上高地からさらに奥へ、
明神館の庭先に一際目立つ、
紅い実を随えた低木がある。
君の名は、肝木。
春には白い花を咲かせるが、
秋には紅い実に姿を変え、
道行く者を魅了する。

 あと幾許か、
黄葉に烟る梓川のほとりに、
この肝木の紅が、
鮮やかな彩りを添えてくれれば
素敵なのだが・・