2012年5月21日月曜日

謎多き秩父帯

謎多き秩父帯

 あまりの美しさに河原に駆け下りた。
ここは四国の剣山を水源とする坂州木頭川。
対岸に突き出した石灰岩の露頭がみごとで、その岩塊にぶつかる水の白さがとても印象的である。

 ここの地質はジュラ紀の付加体である秩父帯に属しており 海溝で混ぜ合わされた様々な種類の岩石を確認することができる。 岩石の色もまた様々でこの風景に彩りを与えている。

 このような自然の標本箱のような風景の中で秩父帯の形成過程を考えてみるのも悪くない。美しすぎるだけに謎が多いのである。

2012年5月20日日曜日

斑れい岩と鮎

斑れい岩と鮎

 この川沿いの道を車で走るといつもこの青い石に眼を奪われる。
ここは、宍粟市一宮町田ノ尻地区を流れる揖保川の支流三方川。 鮎釣りで有名なこの川の辺りには舞鶴帯に属する斑れい岩体が一部露出しており、その転石がこの川を埋め尽くしている。 河原に降りてみると斑れい岩の巨石がいくつか確認できる。

 ペルム紀の付加コンプレックスであるこの河床の上を鮎が泳いでいる。
そう考えると不思議な感覚になるのである。

2012年5月7日月曜日

剣山スーパー林道と秩父帯


剣山スーパー林道と秩父帯

 徳島県の上勝町から那賀町まで横切る日本最長の林道である。
この林道は未舗装のロングダートということもありオフロードライダー達の聖地にもなっている。 調査当日は霧に包まれ幻想的な風景を演出してくれた。
ここの地質は四国の秩父帯に属しており、弱変成を受けた粘板岩とチャートなどが確認できる。 秩父帯の地質は複雑で一部に陸域で形成された古い花崗岩や変成岩を含む黒瀬川帯 などが挟まることもあるので興味深い。

 この林道の最高地点に立ち日本列島の形成過程を想像するのも悪くない。
このあたりには日本列島形成過程の重要な鍵がまだまだ潜んでいるに違いない。

2012年5月2日水曜日

花崗岩と熱変成

花崗岩と熱変成

 小雨の降る中、波賀町齋木地区の花崗岩地帯とその周辺の接触変成岩を調査した。 写真はその一部で拓けた斜面に大きな石と小さな石が流れ下ろうとしている場面である。 面白い風景なので思わず撮影した。

 ここの地質はは全体的に花崗閃緑岩が多く、山の斜面の所々に岩塊流が存在している。 また、この花崗閃緑岩の近くには海成堆積岩が存在しており、接触部には熱変成を受け た泥岩起源のホルンフェルスとチャート起源の珪岩を確認することができた。 2.5億年前のペルム期に形成された海成堆積岩が後の6500万年前に貫入した花崗閃緑岩 によって熱変成を受けた場所なのである。

2012年5月1日火曜日

奥須加院の非海成堆積岩

奥須加院の非海成堆積岩

 兵庫県中部地方には白亜紀後期の凝灰岩が多く存在していることから、 当時はこのあたりに火山フロントがあり、激しい火山活動が繰り広げら れていたことが想像できる。そして、その一部にあたる香寺町奥須加院 周辺には非海成の堆積岩が存在しているのである。ここの堆積岩は礫を 含む砂岩・泥岩質の堆積岩でカルデラ湖の底に堆積したものである。 過去にはこのあたりに巨大なカルデラ湖が形成されていたはずで、 兵庫県中央部にはこのような場所が十ヵ所前後確認できるのである。

2012年4月28日土曜日

風化を考える

風化を考える

 早朝の斜光がその小屋を照らしていた。
林道の脇に佇む物置小屋で、すでに使われている様子はない。
どれほどの年月が経っているのだろうか・・
人が造った小屋もやがては自然に還るはずである。
自然は長い年月をかけて少しずつ小屋を同化させてゆく。

 この風景は地質調査の途中に出会ったものであるが、自然風化に
ついて再考の機会を与えてくれる貴重な一コマとなった。

2012年4月14日土曜日

どちらが古いのか


どちらが古いのか

 宍粟市山崎町の林道でゼノリスをみつけた。
このあたりは流紋岩質溶結凝灰岩と玄武岩が多く一部にはんれい岩も確認できる。前者の二つの岩石はほぼ同じ時代の後期白亜紀に形成されたものだが、ゼノリスの状態から玄武岩の方がより古いものと推察できる。これは、先に玄武岩が存在し、その岩石を後の溶結凝灰岩が取り込んだからこのような捕獲岩になったものと考えられる。
火成岩が存在する場所では比較的簡単にゼノリスを見つけることができるので、その場所の岩石の時代関係はすぐに把握することができるのだ。

2012年3月18日日曜日

雪の林道にて

雪の林道にて

 そこは静かな高原の林道。
雲が幻想的な背景を演出し、雪は周りの雑音を吸収してくれる。足元の雪下の空間では雪解けが始まっている。微かな水流の音は日増しに大きくなり河川を増水させる。林道の斜面は所々に崩壊地をつくり毎年少しずつ地形を変化させている。そんな地形に出会うたびに、地質的な時間を感じるのである。この高原にも、まもなく、そして確実に春がやってくるのだ。