2009年11月29日日曜日

自然に接して感動する

自然に接して感動する

 日没の瞬間は空気も凍る。

 厳冬期の山は生命活動を許さない極限の世界。
吐く息は薄氷となり、瞬時にテント内に凍りつく。方向を失った風は、行き場を失い暴れ狂う・・やがて、テント内にも雪が降る。

 厳しい自然は、我々が生きていることを実感させてくれる。
自然に接して感動すること。この原初的で単純な行為にこそ、意味があるのではないだろうか。

2009年11月25日水曜日

芸術的な溶岩柱

芸術的な溶岩柱

 ギリシャ神殿の列柱を想起させる。

 京都の夜久野には、約30万年前に噴火した火山がある。名前は田倉山。別名、宝山とも呼ばれるこの火山の溶岩は明灰色の玄武岩でできている。柱状節理の表面は淡い橙色に風化し、我々に優しい印象を与えてくれる。

 それにしても芸術的な溶岩柱である。この瞬間にも、柱の陰から、あの女神アプロディーテーが姿を現してくれそうな気がするのだが・・

2009年11月24日火曜日

古い山道具

古い山道具

 フランス製ミレーのザックは、ヨーロッパアルピニズムの薫りがする。

 写真はチャクラという古いモデルで、所有しているザックの中では一番気に入っている。 今では幻と云われる、純フランス縫製のミレーである。ピッケルはラプラウド社製のスーパーワンドイと云うモデルでピックには、往年の登山家、ルネ・ドメゾンの名前が刻み込まれている。

 これらの古い道具は当時の精神性を感じさせてくれる。そして、それを担いで山に登る時が最高に幸せなのだ。

2009年11月22日日曜日

白亜紀のカルデラ

白亜紀のカルデラ

 兵庫県中部に広がる丹波帯は古い地層である。ペルム紀からジュラ紀にかけて付加した地層で、その当時は深海の海溝であったと考えられる。 一般的にはこの様な地層をコンプレックスと呼んでいる。 また、この周辺では砂岩やチャートの他に凝灰角礫岩や礫岩を確認することができる。火成活動を終えたカルデラは陥没して湖となり、やがて周辺の壁も崩れて砂や礫が堆積するのである。 これらのことから、白亜紀には、この周辺に大規模なカルデラがあったものと推察できるのだ。

 西南日本に存在した白亜紀のカルデラ。この周辺に火山フロントがあり、大規模な火砕流が吹き荒れていた時代。この地方に足を踏み入れる時は、つい、そんな時代をイメージしてしまう。

2009年11月19日木曜日

錆色の美しさ

錆色の美しさ

 熱水鉱脈鉱床の酸化帯から採取した鉱石。
表層水の影響を受け鉱石が化学変化を起こした部分のことを酸化帯と呼ぶ。このサンプルの表面は、鉄の酸化鉱物である褐鉄鉱に覆われている。中心部には赤鉄鉱の濃集部が確認でき、上部の赤い部分は赤鉄鉱が粉末状に風化したもと考えられる。緑色の点状鉱物は銅の二次鉱物である孔雀石やブロシャン銅鉱になる。

 赤色の顔料としても使われる赤鉄鉱。表面が黒色でも条痕色は赤色になる。この様に風化した鉱石を見ると顔料に使えることが想像できる。錆びた色もよく見ると、美しい色に感じてくるから不思議である。

2009年11月17日火曜日

岩とアルピニスト

岩とアルピニスト

 峻険な岩場を持つ、雪彦山。
その第二の岩峰、不行岳が神々しく輝いていた。  垂直に切れ落ちた壁は150m以上の高度差があり、アルパインクライマーは命がけでその岩壁を登る。その不思議な光景は、人が自然に挑戦している姿に映る。以前はこの山にもよく登ったが、最近はすっかりご無沙汰である。

 この山は流紋岩と溶結凝灰岩で構成されている。 クライマーはその硬い凝灰岩にハーケンを打ち込み確保支点をとる。 優秀なアルピニストは岩質も良く知っているはずだ。

2009年11月15日日曜日

石のある暮らし

石のある暮らし

 森と石に包まれた部屋でパイプ煙草を燻らす。テレピンの香りに満ちた部屋が、甘いバニラの香りへと染まる。そんな部屋の片隅で石の成因を思索している。石は時間の感覚を変化させ、意識を地質時代へと導いてくれる。

 写真はオルドビス紀のオフィオライト断片、蛇紋岩である。5億年の時を重ねた石。私は、その石たちと一緒に暮らしている。

2009年11月12日木曜日

錦秋に燃える

錦秋に燃える

その秋は、白樺の奥で燃えていた。

 自然林に透ける錦秋の風景である。澄んだ美しさには自然のもつ官能性を感じる。 できれば、今すぐにでも、この
情景を画布の上に定着させ、永遠に留めておきたいと想った。絵になる風景とは、まさに、この様な風景のことを云うのである。

 そろそろ山の紅葉も終焉となる。枝は葉を落とし冬枯れの風景へと姿を変える。そして、高度を下げて強さを失った太陽の光と哀愁が山全体を包み込むのである。

2009年11月9日月曜日

魅惑の変成岩

魅惑の変成岩

 変成岩のサンプルトレイを何とはなしに覗いてみると、一際目立つ岩石があった。その名は、アクチノ閃石片岩。別名、陽起石片岩とも呼ばれている、女性的で魅惑的な変成岩である。 緑色でガラス光沢をした針状結晶をルーペで観察すると、誰もがその美しさに息を呑む。日本列島は海洋プレートの沈み込み帯であるが故に、この様な美しい変成岩に出逢うことができる。この魅力的な変成岩は中央構造線の近くで高温低圧の変成を受けたはずである。しかし、この様な地中深部で変成を受けた岩石が地表に顔を出すメカニズムとは・・この石は、我々の想像を遥かに超えたダイナミックな経歴を持っているに違いない。

 ということで、今夜はこの陽起石と向かい合って一杯呑るとするか。この陽起石が美しい楊貴妃に変身してくれることを期待して・・

2009年11月8日日曜日

岩塊流と自然観

岩塊流と自然観

 燃ゆる黄葉林道を駆け登った。
この季節の段ヶ峰林道では、いつも、落ち葉の絨毯が出迎えてくれる。

 一宮町の草木集落から千町峠を経由し段ヶ峰林道に入った。 その林道を少し下った辺りに、この岩塊流がある。おそらく最終氷期の凍結融解作用で、この様に破砕されたのであろう。

 自然をどう見るのか・・時々考えることがある。あの今西錦司が語った様に
西洋的な自然科学だけでなく、生物に満ちみちた自然を素直にとらえることができる人に、私は憧れるのである。

2009年11月7日土曜日

落葉と落陽

落葉と落陽

 落ち葉が逆光に舞っていた。
ここは、東経135度、北緯35度。西脇市に位置する公園の風景である。 秋も深まると広葉樹の葉が色付き、やがて落葉する。この美しい紅葉色はアントシアニンという赤い色素によって創り出されている。 日照時間が少なくなる冬には、光合成の効率が落ちるので、落葉植物は自ら葉を落とすのだ。

 落葉は紅と哀愁に染まっている。そして、人生の落陽を向かえたとき、我々は、何色に染まるのであろうか・・